有責配偶者の夫が,長期にわたり音信不通の妻と離婚を成立させた事例
<事案>
相談者は40代後半の男性です。妻とは20代前半で結婚し,自宅を購入して夫婦2人で円満に生活していましたが,子どもに関する考え方が異なることから結婚してから十数年のうちに夫婦間の溝が深まり,お互い仕事が忙しかったこともあり,家庭内での会話もなくなっていきました。
そんな折,相談者は仕事の関係で出会った女性と交際するようになり,妻との婚姻関係を解消することを考え始めました。そこで相談者は妻に有利な条件を提示して離婚を切り出しましたが,妻はこれを拒否し,特に理由を述べないために話し合いにもなりませんでした。
しかし,その後も妻の態度は変わらず,修復の芽もなかったため,話し合いの末,相談者が家を出る形で別居を始めました。別居後はお互い一切連絡を取らないまま,疎遠になっていきました。別居から3年ほどたったころ,相談者から改めて妻に連絡を試みました,妻からの応答はありませんでしたので,弁護士に相談しました。
<解決>
相談者の代理人として連絡を試みたところ,すぐに妻の代理人弁護士から連絡があり,双方代理人を通じて協議を行うことになりました。
妻側からは、なぜ相談者が別の女性と交際を始めたのか、現在に至るまでどのような心境であったのか、ということについて相談者本人の言葉で説明してほしいという要望がありました。
そこで、相談者から妻に対する手紙という形で送ることになりましたが、妻が相談者自身からの説明を求めている様子であったため、おおまかな枠組みは担当弁護士と相談し、具体的な内容については相談者自身が記載することになりました。
手紙はいたってシンプルなものになりましたが、妻は相談者自身からの説明を受けて納得するところがあったのか、具体的な離婚の協議を進めることになりました。
主な争点となったのは財産分与と慰謝料の金額や支払い方法についてでした。
相談者は共同名義の不動産に妻が住み続けているため,この持ち分を譲渡することを従来から考えていましたが、妻側の主張を聞いてみると、不動産は不要であり、全て離婚時に現金で受け取りたいという希望を持っていることがわかりました。
不動産は購入から十数年が経過していましたが,立地が良く人気の物件のためさほど値下がりはしていませんでしたが、すぐに買い手がつくまでにはいかなかったため、解決金のうち不動産売却益については売却時に妻に支払うということで妻も合意し、離婚成立となりました。
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